ゴジラ KING OFMONSTERS

5/31公開。2014年公開のギャレス・エドワーズ監督の「ゴジラ」から始まり「キングコング髑髏島の巨神」を起点とする「モンスターバース」第三弾となる映画です。
複数の映画を一つの世界にまとめあげるユニバース方式を取るシリーズは珍しくなく、アヴェンジャーズを中心にした「マーヴル・シネマティック・ユニバース」、スーパーマン「マン・オブ・スティール」を中心にした「DCエクステンディット・ユニバース」と追う方も大変になってきていますが、モンスターバースは至極単純。なにせ3作しかない。
怪獣達が主役であるというスタンスは崩さず、人間達が怪獣対策に奔走するために生まれた調査機関「モナーク」を中心としてストーリーが展開していきます。ギャレゴジの芹沢博士もモナーク生物学者という設定。そしてキングコングではモナークが大きな影響力を持つにいたるエピソードが展開されています。
そんな下地を積んだうえでの第三弾はゴジラモスラキングギドラ!そしてラドン!!その他大勢!とにかく景気よくアメリカを壊していく内容。

人間ドラマはそこそこに(ともかくあの夫婦をモナークはなぜほったらかしにしたのか!)人間とゴジラの関係性、ドハディ監督のゴジラ観、暴れまわる怪獣と作っている側の趣味が全開で、ハリウッドナイズされながらも邦画であるかのような風味すらある。アクション・SF映画好きにとってはこれ以上ない贅沢のような2時間でした。
中でも日本人としては、やはり芹沢博士の活躍に期待したいところ。今回は前作以上に立場が強くなっているようで、主演のような扱い。特に映画の中でたった一人で重要な部分を背負い込んでいくシーンがあり、初代(1954年)ゴジラの芹沢博士と重ね合わせて考え込まされました。
かつての芹沢大助博士は一体どんな気持ちでゴジラを抹殺するためにオキシジェン・デストロイヤーを用いたのか。あの初代ゴジラに心を通わせることはできなかったのか、可能だったらあの結末は変わっていたのか。
日本での快作「シン・ゴジラ」もゴジラは1954年版と同じで「災害」そのもの。人の力で越えなければならない災害と2011年ごろの災害をオーバーラップさせて、人の戦いとして昇華させていったのでしょう。
モンスターバースにおけるゴジラはそちらとは解釈が違って、「災害」ではあるものの、神に近い「生物」であるという方向性を強く描いています。人の手に余る暴力的な力である、その上で排除ではなく共存すべきと説く。

災害か神か。先ふたつのゴジラ観とは違うものの、それも解釈としては正解。多様性のあるゴジラ映画がこれだけポコポコ作られて、きっちりヒットを飛ばしているという今の状況がとにかく贅沢なものなんだなぁなんて思えてくるのでした。
この次は小栗旬出演の「ゴジラVSキングコング」。2020年公開です。