映画仮面ライダーセイバー・仮面ライダーゼロワン

色々ありすぎた令和最初の仮面ライダー、なんやかんやで決着。長かった。

本来であれば夏に映画が公開される予定でした。それが春先の撮影中断で本編も路線変更をせざるを得なくなり(アークワンはそんな路線変更の末に生まれた展開らしい)、映画なんて作っている余裕もなく夏映画は戦隊・ライダーともにバラし。それぞれ単独映画で年末・新年公開となりました。それでも今も結構ヤバめなんですけどね。とはいえ、制限された環境下・限られたリソースで作り上げられたと言っても(いきなりすぎる展開や道中のグダりっぷりは置いといて)、終盤にかけての強烈な展開はそれまでのライダーから一線を画したもので満足感が高かったです。

それを踏まえたうえでの映画。
滅亡迅雷とも分かり合えた上での新たな敵。正体不明、技も一切不明という状況下で戦うゼロワンと60分というタイムリミット。無慈悲に斃れる市民達、仮面ライダー達はどう抗うのか…という話。
凄みがあるのは映画のゲストである仮面ライダーエデン・エス役の伊藤英明。俳優としてもトップクラスな人材であるこの人をよく連れてきたなぁというところ。ストーリーの根幹全てがこの男に握られていて、卓越した演技で感情をガンッガンに揺さぶってきます。敵ライダーとして出てきたキャラがここまでやってくるというのもかなり珍しいんじゃないかと思います。エターナル…は結構後付けで盛られた部分があって、今ダークヒーロー感を強めにして売っているところがあるんですけど、エデンというキャラが根っこが違う。非常に珍しいキャラ。
ただ、その魅力ある敵が全て持っていくわけでなく、或人の熱い演技がしっかりと受け止めるようにヒートアップ。特に終盤の飛電或人は感情の動き方が極端で、見ているこちらもハラハラするようなものだったのですが、映画の或人はそれを踏まえながら感情の出し方がさらにうまくなっている。笑ってもいいし怒ってもいい…という感じか、少し人間的に成長した感じが見て取れてちょっと良いなと思いました。

あとは笑いの部分。アキラ100%が全部持って行ってました。去年はなんか「ぶっとばすぞう!!」とか叫ぶ中年男性がサプライズで出て来るという反則がありましたが、今回は予想ができる芸で予想できない動きをしてくるアキラ100%。撮影してる方もノリッノリでやったんだろうなというシーンは爆笑必至です。特に白衣の天使ましろちゃん役の役者さん、色々大変だったんだろうなぁ…

なんというか、ゼロワンらしい騒がしく感情がコロコロと変わる作品。それでもシナリオの根幹がしっかりしていて「60分」と言う上映時間を効果的に使った非常に良質な作品だったんじゃないかと思います。
ここしばらくのライダー映画では例を見ない名作…って毎年書いている気がする。ビルドも良かったし、エグゼイドも良かった。ジオウは…まあP.A.R.T.Yだからテンション上がるのは仕方ない。それでも令和一発目としてしっかりと跡を残せたんじゃないかと。