仮面ライダー×仮面ライダー×仮面ライダー the Movie 超電王トリロジー Episode Yellow「お宝DEエンドオブパイレーツ」

夜、東京に戻り映画館。三部作の最後です。テーマは「仮面ライダー映画のこれから」。電王・ディケイドという他のシリーズと繋がることのできる反則仕様を持つライダーが再びの共演。この立ち場から電王映画の総決算、そして仮面ライダー映画としての立ち位置を少しずつ模索していくスタンスでしょうか。
主役は海東大樹、いきなりイマジンと契約した状態で登場します。その目的は…?一筋縄ではいかないあのツンデレ泥棒、相対するのはウソツキ詐欺亀のウラタロス。言葉の裏を探るのが好きなウラがその行動を、良太郎が大樹の内面をそれぞれ見極めながらデンライナーと大樹の「時」をめぐるストーリーが進んでいきます。
一方で敵役となるのがトリロジー唯一のライダー、仮面ライダーG電王・黒崎レイジ。唐突に時間警察を名乗り無尽の振る舞いをするレイジ、人を信じようとしないレイジの過去もまたストーリーの根幹にかかわっていきます。割と設定が突飛で、良太郎と共に「訳も分からず」巻き込まれていくイキナリ感がなんとも電王らしくない、とはいいつつもライダー映画としてはトリロジーで一番楽しめる内容になっていると思います。3人のライダーが入り乱れ、なかなか自分語りをしない大樹を主人物描写もなかなか、戦闘シーンもダイナミックで三部作でバランスがいいんですよ。戦闘が少なくても、観衆置いてけぼりの超展開でもダメですからね。

とは言え、どんどんとギャグシーン化していく電王の戦闘がギャグ一辺倒に。スカッと爽快に暴れまわるのが持ち味だったソードフォームの戦いはコント同然になってしまったのが残念なところです。いちいち痛がってるのはなんかライダーというよりモモタロス生身っぽい感じ。他のシーンは問題なかったんですがね。
無理に笑いどころを作るわけでもなく、キャラが立ってる人達しかいないある意味おいしい映画ですから、そこまでしなくてもいいとは思うんですよね。大樹なんかあまりにも突き抜けた発言が多すぎて笑えるぐらい。予告でも発してる「僕は…お宝のためなら命も張れる!!」とか、「勘違いしないでくれたまえ」とか終盤戦闘シーン前のセリフやら。ある意味で地獄兄弟レベルの濃いセリフがポンポン飛び出すのは凄いとしか言いようがありません。
そして目玉のディエンドコンプリートフォーム。ディケイドのソレもなかなか反則レベルに近かったシロモノですが、ディエンドは一発限りなせいか何もかもが酷い。呼びだすライダーがG4、リュウガ、オーガ、グレイブ、歌舞鬼、コーカサス、アーク、スカルと劇場版出身ライダーで構成されてるせいで、それぞれ最強レベル。それが一同に並んでいるわけですからもう笑うしかない。アークのデカさとか統一感のなさとか、あらゆる意味で反則。こりゃ勝てませんよ。勝てるとしたらディケイド最強コンプリートフォームしかないって感じです。これはフィギュアーツ買いますよ、そりゃ。


最後には黒崎レイジという人物の人となり。今回はあえて「イマジンとの契約」から大きく外れるストーリーとなりましたが、このストーリーは大樹と対決する彼の物語でもありまして…彼の生い立ちとその背景が少しずつ明らかになるにつれて、なかなか気のいい青年に見えてくるから不思議なものです。でもあの時間跳躍ポーズはありえない。全裸でやるべきです。
以上、トリロジーの中ではまさに有終の美を飾るなかなかの佳作になっていることは間違いありません。最後にはお待ちかねのアレもありますよ。