スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号

春の映画はここ最近色々と覚悟しながら見ないといけなくなっています。夏のTVシリーズの総決算的なものは良くも悪くも延長線上でそれ以下になることは稀(たまーに頭を抱えたくなるようなものも出てきますが)、冬のMOVIE大戦は共闘までの流れを丁寧に描いているせいで毎年安定して見られる映画になってます。じゃあスーパーヒーロー大戦は?というわけで、今年のスーパーヒーロー大戦。今回は去年の「仮面ライダー大戦」に引き続く形で内容をほぼ仮面ライダーに統一、登場する戦隊は手裏剣戦隊ニンニンジャーのみ…と分かりやすくシフトしています。
ストーリーの肝となるのは謎のライダー「仮面ライダー3号」の存在。かつて少年誌でデザイン画が出ただけという存在を蔵出しする形でデザイン。しかし現実の仮面ライダーの歴史上には存在しないライダーが現れ、なぜ一号二号を倒してドライブに挑戦状を叩きつけたのか。…という話です。
「ショッカーの統治する世界」という2011年の「レッツゴー仮面ライダー」と共通する設定で「またか!!」とも言いたくなるシチュエーション(しかも背景も当時のネタををそのまま使っているものも!)ながら、倒されてショッカーライダーとして悪の手先になってしまった者、それでも自由のために戦い続けようとするライダーが入り乱れる。一見すると誰がどちらの勢力に入っているのか分からない、見てる側としては「えっ、どっちどっち?誰を信じればいいの?」と手に汗握る展開となっています。ここは非常にうまく出来ています。さっきまで味方だったのにやっぱり敵!…みたいなことがザラに起こります。
これは主人公である進之介、さらには仮面ライダー3号も同じ。進之介の立ち位置はショッカーの手先になった(!)特状課のメンバー仮面ライダー3号・黒井響一郎もこの状況下で見ている側を翻弄します。この流れが先がどんどん気になっていく手に汗握る展開に繋がって行きます。
そして縦軸となるのが黒井の存在。この映画のみの存在ながら性格や特徴をしっかり描いて掘り下げることによって、ただの映画限定ライダー以上に魅力的な人物として作り上げています。懐が妙に大きく、どこか貫録のあるその妖しい人となりはどことなくカリスマ性すら感じます。きっと愛を持ってキャラ形成をしたんでしょう。一号二号を倒した理由、そして進之介達を翻弄しながら動く理由、善悪の2面性と進之介が解き明かしていくことでストーリーが広がって行きます。


…ととても魅力的に見える流れの反面、全ライダー集結からの戦闘シーンはもはやロスタイム。123号揃ってのトリプルライダーキックと見どころは少々ありながらもやることは大体一緒。そして今年は最もやってはいけない禁じ手を行ってしまいました。映画館から出たほとんどの人が「あれどういうこと!?」と首をかしげるその結末はスピンオフドラマである「4号」に繋がっています。映画単体ではストーリーが完結しないというのも禁じ手ではあるんですけど、これが大幅な減点要因となってしまっています。
これだけラストについて不満がありつつも、結局「4号」が見たくなってきてしまうんですけどね。それぐらい惜しいところまで…いやむしろ良いところまで上げつつ全力で落としに来ている作品でした。