映画ポケットモンスター・ボルケニオンと機巧のマギアナ

映画ポケモンは来年で20年。ここまで長くやると、無茶なことをしても「ここをこうすればポケモンとして成立する」というボーダーラインが作ってる側にもできてくるみたいです。
言ってしまえば今回のストーリーというのは「孤児院を作ったぶっきらぼうなおっさんが面倒を見ている女の子がさらわれたので敵組織にカチコミに行く話」です。ポケモンじゃないですね。舞台は「スチームパンク」で、しかも「ファンタジー」。ポケモンじゃないですよね?
このどう考えても交わらない(多分オッサンとスチームパンクは合うでしょうけど)部分を繋ぐのがポケモンというわけで、「ポケモンをこうやって使えば自分達がこういうものを作りたいんだ」というアイデアを全部盛り込めるんだ!という或る意味開き直りにも見える発想の逆転から新しいものが見られたんじゃないかなぁと思います。
先に書いた「ぶっきらぼうなおっさん」が今回の主役ポケモンボルケニオンなわけですが、とにかく「ぶっきらぼうなおっさん」と呼ぶしかないぐらいに人間臭くてキャラが立ちまくっている。モデルになった人間は泉谷しげるなんじゃないかというぐらい「ぶっきらぼうなおっさん」で、人間嫌いをこじらせながら適度にデレて、やる時はしっかりやる、きっちりとオッサンのテンプレを踏襲したオッサンです。これを演じる市川染五郎も、さすが歌舞伎役者というべきかとんでもないおっさんぶりを発揮する名演。ビックリするぐらい合っていました。

伝説ポケモン大集合をやってしまった去年の「フーパ」で以降ネタをどうするのかなぁと心配気味ではありましたが、どこか吹っ切れた感じのする、上手くまとまった映画になっておりました。ちょっと遅れたけど見ておいて損はなかったです。