仮面ライダー1号

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本日公開、45年の時を経て戦う仮面ライダー1号の姿を描く異色作。主役は仮面ライダーゴースト=天空寺タケルではなく、本郷猛=仮面ライダー1号です。そして彼とゴースト、マコト兄ちゃん=スペクター以外のライダーも出てきません。老いてなお戦い続ける本郷のみにスポットを当てています。

かつて仮面ライダーの主役として一世を風靡した藤岡弘、さんはせがた三四郎のヒット辺りからバラエティ番組にも浸透してきて、その個性的な性格・温かみのある笑顔・武人としての凛としたたたずまい、ここ20年でさらに魅力ある人物としての一面も見せてきました。しかしながら、藤岡さんの原点にあるものは「仮面ライダー」。45年経ってもその看板は良くも悪くもついてきます。人によっては元ヒーロー役という経歴を外して今の輝かしい経歴を刻み続ける人もいますし、ヒーロー役の後がパッとせず表舞台から消えてしまう人もいる。輝かしい活躍とは裏腹に、呪いにもなりうる言葉でもあります。
でもこの人は。藤岡弘、という俳優は45年もの間ヒーローとしてあり続けた。カメラの前でもそうでなくても、その真っ直ぐで、あらゆる事柄にどっしりと構える生き様をずっと続けてきた。きっと本郷猛を演じていなくても、また違う形の当たり役で一世を風靡していたのではないかと思えてきます。

藤岡さんの人柄ばかりの話になってしまいましたが、つまりそういう映画です。本郷猛の生き様は藤岡さんそのものであって、藤岡さんの中には45年の間本郷猛が生き続けてきた。だから藤岡さんをまたスクリーンに出すとしたら、「藤岡弘、」と「本郷猛」はほぼイコールになっているだろう。そうしたらどんな言葉を紡ぎ、「仮面ライダー」の名跡を受け継いできたタケルにどんな言葉をかけるだろう。映画館で見てるあらゆる45年前・昭和末期・平成1期・平成2期とあらゆる世代のファンにどんな言葉をなげかけてくれるのだろう、と。そういったところからこの映画が出来ています。ゴーストの新フォームや新しい玩具などもナシ、グレイトフル魂もなしとかなりバッサリと斬り捨てていてとにかく徹頭徹尾藤岡弘、と本郷猛のために作られた映画なのです。私は1号の世代ではないのですが、それでも立花レーシングクラブのガレージ跡地に現れて、故小林昭二さんの写真を懐かしげに見つめて「おやっさん…帰ってきたよ」とつぶやくシーンにはグッときてしまいました。
あとはディケイド劇場版以来の地獄大使・大杉蓮さんの怪演。地獄大使の意外すぎる出方にも注目です。あと、竹中さんはいつも通りでした。